
pHコントロール、といってもあまり聞き慣れない方も多いかもしれませんが、主に尿路疾患になった猫向けに作られるキャットフードに重要なものです。
療法食として与えることが多いので通常ではなかなか手に取らないかもしれません。
しかし、一度尿路疾患になってしまった猫にとっては強い味方になります。
どういった猫に必要なのか、どんな効果があるのか、今回はpHコントロール用キャットフードについてご紹介します。
酸性もしくはアルカリ性に偏ってしまった尿のpH値を、正常値へ戻してくれる事を指します。
正常値とは、pH値を0~14の数値にし、0が酸性、14がアルカリ性としたときの6.5前後の数値の事です。
この数値の時が弱酸性とよばれる状態で、弱酸性に近づけるよう調整できるように作られたのが、pHコントロール用のキャットフードなのです。
尿結石は、この値の偏りとマグネシウムやカルシウムが大きく関係し、通常の食事のみではなかなか正常値への調整が難しいです。
更にややこしいのが、どちらに偏っても尿結石になるリスクが高まるという事。
極端な偏りが原因となる場合が多いです。
アルカリ性に偏った時にはマグネシウムが、酸性に偏った時にはカルシウムが結石の原因となります。
そこをpHコントロールキャットフードで調整することにより、正常値へ戻るよう促し、尿結石のリスクを低くします。
このタイプのキャットフードは低マグネシウムで作られています。
マグネシウムはストルバイトとよばれる結晶を作る元となりますので、尿の値だけでなくマグネシウムのような尿結石に関係する成分もキャットフードによって調整されるのです。
それだけ自力で調整するのが難しいという事でもあるのでしょう。
キャットフードに含まれるマグネシウムを減らしておけば、結石になるリスクの低減が期待できます。
ちなみに、カルシウムによって作られる結晶はシュウ酸カルシウムとよばれます。
こちらも同じくカルシウムの量が調整されたpHコントロールのキャットフードを与えることで、改善が期待できます。
尿路疾患の猫だけでなく健康な猫にもいえることですが、あわせて水分もしっかり摂取する必要があります。
そもそも尿が出なくなることが尿結石の症状なので、しっかり飲んでしっかり出す必要があり、pHコントロール用のキャットフードは、ちゃんと水分を摂ってもらうために塩分(ナトリウム)を多めに含んでいる場合もあります。
pH値を調整することも大切ですが、水も飲んでいるかを合わせて見る必要があります。
また、pHコントロールは一種類ではなく、猫の症状によって調整する度合いも変えていきます。
大きく偏りのある猫の場合はコントロール値も大きくなり、そこから改善されていけばコントロール値も少しずつ下げていきましょう。
この具合は獣医師と要相談になりますが、いつまでも同じものを与え続けて良いわけではありません。強いものを与え続けると別の病気を引き起こす原因にもなります。
愛猫の様子を見ながら病院へ行って確認することも大切です。pHコントロール用キャットフードそのものも調整し、弱酸性に近づけるキャットフードを与えましょう。
扱いが難しいキャットフードのため、獣医師との密な相談も必須になってきます。
気づかないうちに、必要以上に強いpHコントロールを与え続けている事のないよう、最初のうちは特に気にかけておきましょう。
少しでも早く改善できるよう、pHコントロール用キャットフードともうまく付き合って、効果的に与えてくださいね。